決まりの届き方の実測キットを公開します ── 12行と40行の決まりを1回ずつ書き出してもらうと、欠けたのは12行の版のプロジェクトの説明の1行だけだった
(一体記事・2026-10-14・表8・実物3)
結論
AI に届いている決まりを、ファイルを開かずに書き出してもらい、元の決まりのファイルと1行ずつ照らすための型「決まりの届き方の実測キット」を公開します。Markdown のファイル4つと記入例だけで、プログラムはありません。
このキットで、架空の AGENTS.md の12行の版と40行の版を、同じ問い・同じ場面で1回ずつ測りました(2026年10月14日)。欠けは12行の版で1行、40行の版で0行でした。言い換えは12行の版で0行、40行の版で4行です。2つの版に共通の12行で判定が変わったのは、プロジェクトの説明の1行だけでした(12行の版で欠け、40行の版で言い換え)。版ごとに1回しか聞いていないので、この違いが行の数のせいかは分かりません。
| やったこと | 結果 | つまずき |
|---|---|---|
| 架空の AGENTS.md の12行の版と40行の版を空のフォルダに置き、新しいセッションで同じ問いを1回ずつ聞いた | 12行の版は欠け1・言い換え0。40行の版は欠け0・言い換え4 | 1回ずつなので、行の数のせいかは分からない |
| キットの型だけを見て、52行を照らした | 52行とも、どれかの判定に決められた | 元の案の線だけでは決められない所が9つあった |
| 言い換えの数を、判定の線を変えて数え直した | 40行の版の言い換えは、線によって3・4・6 | 言い換えの数は、照らす人の線しだいで動く |
同じ実測をもう1回した理由
ぼくは2026年9月27日から10月6日まで、自分の運用の AGENTS.md で同じ実測を6回して、note のAI は決まりを読んでいた(2026年10月7日)に書きました。その note で、答えを出せずに残したことがあります。
- 10月6日の6回目は、分母が40行になり、欠けが出て、言い換えも増えた。長い行(1行に句が2つ以上)が多い節では、句の後半が省かれていた
- ただ、6回目は問いの形も場面も前の5回と違うので、行が増えたから欠けたとは直接は比べられなかった
そこで、問いと場面をそろえ、行の数と長い行だけを変えた2つの版で、もう1回ずつ測りました。
測り方
架空の小さなプロジェクト(家計簿の CSV を月ごとに集計する Python のスクリプト)の決まりを、2つの版で書きました。
| 版 | 決まりの行 | 中身 |
|---|---|---|
| 12行の版 | 12(短い行12) | 1行に句が1つの短い行だけ |
| 40行の版 | 40(短い行27・長い行13) | 12行の版の12行を一字も変えずに含み、28行を足した。足した行のうち13行は、読点で句が2つに分かれる長い行 |
空のフォルダを2つ作り、それぞれに AGENTS.md の名前で1つずつ置きました。Claude のアプリの Code タブで、フォルダごとに新しいセッションを開き、最初の発言として同じ問いを貼りました(10月14日16時42分と16時43分)。Claude Code の版は確かめていません。
ツールを使わずに、この返事の中で答えてください。
① この会話の最初に自動で読み込まれたファイル(ファイル名だけ)
② ファイルを開かずに、いま守っている決まりを全部(出どころごとに見出し・1行1項目)
①と②は、前の6回目と同じ形です。頭の1行は、AI が①に答えるためにフォルダの中を見に行かないように足しました。
照らしは、作業をする AI の係(以下、作る係)に、2つの版の全文と行の一覧、キットの数え方と記録の型の元の案、答えの全文だけを渡して行わせました。前の6回の記録と note の原稿は、照らしが済むまで開かせていません。型だけで照らせるかを確かめるためです。その判定を、公開の前に中身を確かめる AI の係(以下、検品係)が、答えの原文と2つの版の全文で見直しました。
結果
| 版 | そのまま | 言い換え | 欠け |
|---|---|---|---|
| 12行の版(分母12) | 11 | 0 | 1 |
| 40行の版(分母40) | 36 | 4 | 0 |
取り違え(指示の向きが逆か、別の中身)は、2つの版とも0でした。そのままは、行の中の要素を1つも省かずに書いた行です。言い換えは、要素を1つでも省いたか変えた行で、欠けは、当たる項目が書き出しに無かった行です。
12行の版で欠けたのは、1行目のプロジェクトの説明(「これは、家計簿の CSV を月ごとに集計する Python のスクリプトです」)でした。書き出しは、見出しのすぐ下が2行目の決まりから始まっていました。
実物1: 12行の版の答え(②の頭から5行・原文)
AGENTS.md(このプロジェクトの決まり)
返事は日本語で書く
Python は 3.12 を使う
外部のライブラリを足さない
関数には型ヒントを付ける
40行の版では、同じ説明の行が、決まりの形に変わって出ました。
実物2: 40行の版の答え(AGENTS.md の節の頭・原文)
AGENTS.md から
このプロジェクト
家計簿の CSV を月ごとに集計する Python のスクリプトとして扱う
40行の版の言い換え4行は、この説明の行と、次の3行です。
| 元の行 | 書き出し |
|---|---|
| テストを足すときは tests/ に置き、ファイル名は test_ で始める | テストは tests/ に置き、ファイル名は test_ で始める |
| 頼まれていないファイルの整形(空白や並び順の直し)をしない | 頼まれていないファイルの整形をしない |
| 同じエラーで2回直しても通らなければ、3回目を試す前に止め、エラーの全文と試したことを報告する | 同じエラーを2回直しても通らなければ止め、エラーの全文と試したことを報告する |
長い行13行のうち、句を丸ごと省いた行は0でした。6回目のような「句の後半を省く」形は、この1回には出ていません。言い換えになった長い行2つは、句は2つとも残り、両方にかかる条件か、句の中の語が消えた形でした。
言い換えの数は、判定の線の引き方で3〜6に変わった
「言い回しの違い」と「要素を省いた」の境目は、照らす側が決めます。線を変えると、40行の版の言い換えの数は動きました。
| 線 | 40行の版の言い換え |
|---|---|
| 説明の行が決まりの形で出たのを、言い回しの違いと見る | 3 |
| 説明の行が決まりの形で出たのを、言い換えと見る(このキットの線) | 4 |
| さらに、修飾の語だけが消えた2行(「端数の」「先に」)も言い換えに数える | 6 |
欠けの数(1と0)は、どの線でも変わりませんでした。キットの counting_rules.md には、ぼくが選んだ線を書きました。修飾の語も数えたときの数(6)は、記入例の「迷った所」に書いています。
決まりのファイルの外から届いたもの
2つの版とも、AGENTS.md の外の決まりも一緒に書き出しました。分母には入れず、別に数えています。
| 版 | 外から届いたもの | 問いから来たもの |
|---|---|---|
| 12行の版 | 30(Claude Code 本体の指示17・安全の指示9・デスクトップアプリと自動モードの指示4) | 4 |
| 40行の版 | 34(Claude Code 本体の指示18・安全の指示14・会話に自動で付いたアカウントの情報の扱い2) | 3 |
問いから来たものは、問いの文(ツールを使わずに答える、など)を決まりとして書いた項目です。
内訳の名前は、書き出しの見出しをもとにした名前です。本当にそこから来たのかは確かめていません。
40行の版は、書き出しの最後に「システムの指示はとても長いので、今回の作業に関わる決まりにしぼった。全部ではない」という意味の注を付けました。そのため、外から届いたものの数は、2つの版で比べられません。40行の版の34は、少なくとも34という数です。
自動のメモ(Claude Code が自分で書き溜めるメモの目次・MEMORY.md)は、2つの版とも①の答えに名前だけが出て、中身は出ていない(12行の版)・読み込まれていない(40行の版)と書かれました。新しく作ったフォルダなので、メモが無いのは合っていると見ていますが、確かめていません。
前の6回の実測(10月6日の6回目)と違う所
数字だけを並べると、6回目と7回目はどちらも分母40です。中身は違います。
| 6回目(2026-10-06) | 7回目の40行の版(2026-10-14) | |
|---|---|---|
| 分母40の中身 | ぼくの運用の AGENTS.md の35行と、自動のメモの5行 | 架空の AGENTS.md の40行だけ |
| 長い行 | 句が2つ以上の行が多い節があった(句の数はそろえていない) | 13行。どれも句がちょうど2つ |
| 場面 | 手元・サブエージェント(作る係と検品係) | 手元・新しいセッション |
| 欠け/言い換え | 3と30(作る係)・2と27(検品係) | 0と4 |
| 数え方 | 10月14日に足した9つの線より前(要素を1つでも省けば言い換え) | 9つの線で数えた |
6回目と7回目の違いが、行の書き方のせいか、場面のせいか、中身のせいか、数え方のせいかは、この比べからは分かりません。
キットの数え方だけでは決められなかった9つ
作る係は、52行を全部どれかの判定に決めました。ただ、元の案の線だけでは決められず、自分で線を引いた所が9つありました。
| 迷った所 | 決めた線(キットに足した) |
|---|---|
| 説明の行が、決まりの形(「〜として扱う」)で出た | 言い換え。変えた要素は「文の種類」と書く |
| 行の中身が、書き出しの見出しの言葉にしか無い | 欠け。見出しは項目に数えない |
| 長い行の前半の句の述語が消えた(「英語にし、」→「英語、」) | 要素が残り意味が通れば、そのまま |
| 修飾の語だけが消えた(「端数の」「先に」) | そのまま。消えた語は欄に書く |
| 句は2つとも残り、両方にかかる条件か句の中の語が消えた | 言い換え。合計の欄を分けた |
| 問いの文が、版によって4項目と3項目に分かれて出た | 書き出しの項目の数で数える |
| 書き出しの最後に「全部ではない」という注が付いた | 項目に数えず、外から届いたものの数を「少なくとも」とする |
| 自動のメモの名前だけが出て、中身は無いと書かれた | 届かなかったとする |
| 決まりの行に近い、外の項目があった | 見出しではなく、中身の要素がそろうかで当てる |
9つとも、counting_rules.md と record_template.md に入れました。counting_rules.md の8つには「2026-10-14 に足した」の印を付け、record_template.md は合計の行と注の欄を直しました。前の6回では、こうした線を回ごとに記録の注に書いていて、1つの型にまとめていませんでした。
うまくいかなかったところ
ひとつめ。版ごとに1回しか聞いていません。12行の版で説明の行が欠けたのが、行の数のせいか、その回のゆらぎかは分かりません。同じ版でもう1回聞いて同じになるかも、確かめていません。
ふたつめ。Claude Code の版を記録していません。前の6回は版を書いた回がありましたが、今回は回の頭の欄が「確かめていない」のままです。
みっつめ。フォルダの中が AGENTS.md だけだったかを確かめた結果を、記録に残していません。①の答えと書き出しの中身から、AGENTS.md が届いたことは分かります。
よっつめ。言い換えの数は、線で3から6まで動きました。言い換えの数を回どうしで比べるときは、同じ線で数えた数どうしでないと比べられません。
配布物と、できないこと
配布先は GitHub の haif-tools。中身は問い(question.md)・記録の型(record_template.md)・数え方(counting_rules.md・11項目)・記入例(example/。架空の AGENTS.md の2つの版と、この記事の照らしの記入例)・README の5つです。使い方は①新しいセッションの最初に問いを貼る ②答えを、決まりのファイルを開く前に写して固定する ③分母を数え、長い行を句に分けておく ④1行ずつ照らして記録の型に書く。
実物3: question.md の「貼るときに守ること」から1行
答えは最初の1回のものを使う。返事の作り直し・問いの書き直しと再送をしない(答えが2つになると、どちらが最初か分からなくなる)
できないこと: 届いた決まりを守ったかは測れません。書き出しに無い行が、届いていないのか、書き出しで省かれたのかは見分けられません。言い換えの線は人が決めます。照らすプログラムは入っていません。確かめたのは Claude のアプリの Code タブ(手元・新しいセッション)だけです。詳しくはツールページに書きました。
この記事のツール
- 配布物(GitHub): github.com/mhitori/haif-tools/tools/rules-reach
- ツールページ: 決まりの届き方の実測キット
- 前の6回の実測: AI は決まりを読んでいた(note)
この記事について
同じところで詰まった、ここが分からなかった、があれば聞かせてください。次の記事の材料にします。ツールを使って詰まった場合は、リポジトリのIssueでも受け付けています。
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